特養老人ホームの空き待ちが長い
日本は高齢化社会を迎え、様々なシステムが変わりつつあります。特別養護老人ホームで受け入れが出来る人の数は、入居希望者の数に対して圧倒的に少ないという現実があります。リーズナブルな特養老人ホームの入居を何年も待つよりも、費用面では負担が増えますが、特別養護老人ホーム以外の施設に入居を決める方も増えています。しかし一方で、様々な誤解や理解不足からのトラブルが発生しているのも現実です。老人介護施設の現実と、注意するべき点を見てみましょう。
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人口に占める高齢者の割合
2015年、全人口に占める後期高齢者の割合は13%となっています。これは2050年には24%にまで跳ね上がると予想されています。これは、人口の4人に一人が後期高齢者ということになります。然るべき状況は今からわかっているにも関わらず、特別養護老人ホームは圧倒的に足りておらず、民間の施設を利用せざるを得ない方が増えています。自宅で最期をむかえることができる方は全体の1割とも言われています。大抵の方が施設の中で最期を迎えています。最期の住み家をどこにするのかは、益々重要な問題となってくることは想像がつきます。
様々な選択肢がある
特別介護老人ホームが一番いいとは言われていますが、なかなか入れないのが現実です。その現実を受けて、民間でも様々な施設が提供されています。簡単に特徴を見てみましょう。
ケアハウス 軽費老人ホーム
身寄りがない、あるいは経済状況や家庭環境などによって、家族との同居が困難な高齢者が、有料老人ホームよりも低料金で利用できる施設のこと。自治体が助成しています。こちらも特養老人ホーム同様、数が少ないのと、60才以上でなければ入居できないという制限があります。
介護付き有料老人ホーム
有料老人ホームのタイプの一つ。各都道府県から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた有料老人ホームのこと。要介護者に対しては、入浴、排せつ、食事などの介護が受けられます。
住宅型有料老人ホーム
民間事業者が運営する老人ホームの形態のひとつ。介護が必要な際は、それぞれのサービスに申し込み利用するのが特徴。サービスの利用が多くなると、料金が高くなってしまうことがあるので注意が必要。食事や入浴などのさまざまサービスには、それぞれに対してお金がかかる、という点が重要。
サービス付き高齢者向け住宅
バリアフリーに対応している高齢者向けの賃貸住宅です。安否確認や生活の相談などのサービスを受けることができます。常駐のスタッフによる安否の確認や、簡単な生活相談などが受けられます。介護や医療などはパッケージされていない、含まれていないので、事前によく確認する必要があります。必要のないサービスを強要され、料金でトラブルになってしまうケースも見受けられます。老人ホームではなく、あくまでも賃貸住宅という位置づけです。
サ高住 Aさんの例
Aさんはとあるサービス付き高齢者向け住宅に住んでいます。入居にあたっての一時金はなく、月に14万円程を家賃として払っています。一日三回の食事をお願いすると、3万6千円プラスになります。部屋には呼び出しボタンがあるので、万が一の時にも安心です。一階には食堂を兼ねた共用スペース、多目的室があり、Aさんは毎朝ここで新聞を読むのが日課になっています。介護用の浴室もあります。ちょっとしたことを相談できる生活相談室もあります。Aさんには大切にしているぬかどこがあり、留守にする時はこれをかきまわしてもらっています。Aさんが入居を決めた理由は、Aさんの父母が高齢になった際、父が母のおむつを取り替えているのを見て、これは嫌だと思ったからです。自分のペースで生きられる、家族とは適当な距離があるので、とても居心地が良いとAさんは今の居場所に満足しています。
サ高住 トラブルの例
Bさんはネットで、安くて暮らしやすいサ高住を見つけて申込みをしました。契約時には家賃が5万円、食費が6万円という話でした。しかし、何か月か暮らして行く中で、だんだんと請求費用が高くなっていくのに気が付きました。請求内容をよく見てみると、歯磨きの手伝い、30分750円というような、契約にはなかったサービスが行われて請求されていました。また、食事が取れない間の食費も請求されており、Bさんは数か月でこのサ高住から出ることになりました。サ高住はあくまでも住居の契約ですので、契約時には説明をよく聞いて理解することがとても大切になります。
使う側で選ばなければならない
これからの老人ホームは、利用する側で、十分に説明を聞いて理解をしてから契約する必要があります。一般に老人ホームというと、全てのサービスが付いているものと思われがちですが、民間からは様々な形のホームが提供されはじめています。ご自身の状況をよく理解し、何ができて何ができないのか、何をやってもらいたいのかを明確にした上で申し込みをしましょう。サービス内容、サービスの価格、その他細かい点まで確認する必要があります。部屋の大きさや共用スペースの有無、大きさ、入居者などまで、できれば確認したいものです。終の棲家になるかもしれない所ですので、あわてずにしっかりと選ぶことが大切です。