エルニーニョなのに連日の暑さ
連日テレビで報道されている通り猛暑が続いています。35度から40度というと、体温を越えており、人間が過ごして行くのにも工夫が必要です。今年はエルニーニョが発生しており冷夏との説が流れていましたが、そんな予想もどこへやら、とんでもない暑さが続いています。しかも、気象庁が発表した一か月予報では、この先高気圧も強く、気温も湿度も高いと発表されました。これは、7月24日に発表された三カ月予報における8月の予報の正反対の予報となっています。ことごとく外れるエルニーニョ情報、冷夏情報ですが、ここへきて一つ気になる現象が観測されており、これが天気の予報をコロコロと変えているとする説があります。それが、インド洋ダイポールモード現象です。
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インド洋 ダイポールモード現象とは
エルニーニョ現象とは、太平洋上での海水温の上昇を言いますが、インド洋ダイポール現象は、エルニーニョと同じ現象がインド洋で起こる事を言います。インド洋の規模で風や気候の変化が起こる事から、エルニーニョ現象と同じく、世界の気候に大きな影響を与えると言われています。アジアやインドのモンスーンに、直接的な影響があります。エルニーニョ程の認知度がありませんが、その重要性が徐々に認識されつつある気象現象です。1999年に海洋研究開発機構の山形俊男さん、サジ・N・ハミードさんらによって発見されました。
エルニーニョは確実に起きている
地球の海水温を観察するなら、今年2015年夏、エルニーニョは確実に起こっています。そして、そのエルニーニョは強く、比較的長く継続すると、気象庁のエルニーニョ監視速報でも通達が出ています。これは紛れもない事実です。通常であれば、この強いエルニーニョが高気圧を東寄りに移動させ、冷夏になるとの予想がなされます。今年もそうです。しかし現実はどうでしょう。連日各地で猛暑日、熱帯夜が続いています。どうしてこうなってしまったのでしょうか。予報が狂ってしまった要因は二つあります。
台風の発生
今年は台風が沢山発生しています。その台風は元来弱かった太平洋高気圧に力を与えました。台風もこの時期はかなりの期間をかけてゆっくりと進んで来ます。このことから、かなりの力が高気圧に注ぎ込まれています。連日発生する台風とつじつまを合わせるが如くに高気圧はその勢力を増し、日本列島に猛暑をもたらしています。
インド洋ダイポールモード現象
台風は高気圧のへりを進むことから、台風の進路を見ると、ある程度の高気圧の状態が把握できます。エルニーニョであるにも関わらず、今年の太平洋高気圧はかなり日本に接近しています。これはインド洋ダイポールモード現象の影響ではないかと言われています。インド洋ダイポールモード現象は、エルニーニョのインド洋版です。エルニーニョが太平洋高気圧を引っ張るのと同様、インド洋ダイポールモード現象もインド洋側に太平洋高気圧を引っ張ります。つまり、太平洋高気圧を西(インド洋ダイポールモード現象)と東(エルニーニョ)とで引っ張り合っていることから、エルニーニョだけの時よりも太平洋高気圧が若干日本寄りになっているのです。
過去の歴史
同じような気象状況の年を調べてみると、1982、1983、1987、1991、1997と5回あります。両者が太平洋高気圧を引っ張り合う状態となり、エルニーニョが強い時には冷夏、インド洋ダイポールモード現象が強い時には猛暑となっています。82、83年はエルニーニョが強く冷夏、87、91年はインド洋ダイポールモード現象が強く猛暑で台風が多い、97年は平年並みでしたが、各地で大雨が観測されています。場合によっては太平洋高気圧が二つに分かれてしまうこともあります。そうなると北からの寒気や南からの湿った空気が日本列島に向けて流れ込みやすくなり、不安定な天気となります。
この暑さ いつまで
エルニーニョが強い状態で続いているのは紛れもない事実です。そして、インド洋ダイポールモード現象も発生していますが、こちらは海水温を見る限りはそれほど大がかりに発生しているようにも思えないのが現状です。この先お盆前位までは、暑い日が続いてしまうかもしれませんが、それ以降はエルニーニョの影響が出ると思います。この先も暑いとはいえ、現在の気圧配置はかなり例年とは違いがあります。そのため台風の進路は予想が難しく、想像もつかない進路を進むかもしれません。各地で局地的な雷雨やゲリラ豪雨が発生する可能性も今までになく高くなっています。いずれにせよ、天気の状況は例年通りではなく、かなりイレギュラーな気圧配置となっており、その裏には世界規模で発生している強いエルニーニョ、そして相対する形でインド洋ダイポールモード現象が起きている事を覚えておいて下さい。
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